病気の話

コロナワクチンの現状

三郷市でもようやくワクチン接種計画が立ち上がりました。国が2月半ばから医療関係者に始めると言っていたのは少々遅れて3月から開始です。初期に使われるファイザー製ワクチンは-70度保存が必要で市内の2つの基幹病院のフリーザーで保管し、私およびクリニックのスタッフはみさと健和病院に接種を受けに行くことになりそうです。次の段階で接種を受ける予定の高齢者は2つの基幹病院を中心に市内の他の病院含めて8か所で予約を取って行くことになります。高齢者以外の一般の方の接種は5月以降にかかりつけ医などの当院含めた診療所・クリニックで接種できるようになるとのことです。この頃には保管の容易なアストラゼネカ製(モデルナ製も)ワクチンが使われる予定です。どのワクチンも国が費用負担して接種費用は無料です。コロナ禍が続きますが、感染収束への唯一の希望がワクチンなのです。インフルエンザワクチンも大勢の方に打ちますが、今回のワクチンは国を挙げての史上最大の事業になります。さてワクチンについての情報です。ファイザー・モデルナ製ワクチンはDNA同様の核酸であるメッセンジャーRNAを注射して体内にコロナウイルス表面の突起と同じものを作らせて、それに免疫が反応するという仕組みです。アストラゼネカ製ワクチンはコロナの突起を再現する人工合成遺伝子(RNAでなくDNA)をアデノウイルスに組み込んで注射して同様に免疫反応を起こします。従来のワクチンは病原体のウイルスを弱毒化や不活化して注射しますが、今回のワクチンはウイルスそのものを使っていないのが特徴であり、病原体を体内に入れないので安全性は高いと言われます。しかし今回のワクチンはメッセンジャーRNAを簡単に分解されないように保護する脂質ナノ粒子でコーティングされており、この物質が強い炎症反応を引き起こして発熱させたり、アレルギー反応を起こしたりするようです。また注射されたRNAは体内に残って将来的に身体に悪影響を及ぼす懸念もありますが、長期的な副作用については検証されていません。なにしろRNAを使ってワクチンを作る作業は世界初めてなのですから。数少ない臨床試験では有効性95%と驚異的な効果が謳われていますが、インフルエンザワクチンのように効果が十分に期待されて安全に使われるようになるまでには長い年月がかかるはずです。またワクチンが効いて集団免疫を獲得するには国民の7割がワクチン接種を受ける必要があると言われておりハードルが高いところです。ワクチン接種のアンケートでは「今は接種したくない」、「迷っている」と答えた方がかなりの数になったようです。しかし多くの方にワクチンを打って頂くために、私含めて医療従事者は積極的に接種を受けて、その様子を皆さんにお伝えしていくべきと考えます。次号ではワクチンを受けた状況をお伝えする予定です。