病気の話

日本のメタボ、アメリカのメタボ

8月末に久しぶりの休暇でアメリカ(北米)東海岸に行ってきました。北米に限らず南米・ロシア・アラブ諸国など海外でテレビにうつる太っている人々は目立ちますし(一部にアジアやアフリカの病気でやせ細った子供達も時々うつりますが)、今回もかなり目につきました。
その中でもマクドナルドに代表されるハンバーガー・コカコーラ・フライドポテトの3種の神器のそろったアメリカは太った人が最も多い国であり、これが社会問題となっています。
アメリカ滞在中はニューヨークのセントラルパークを毎日ランニングしましたが、ランニングやウォーキングしている人は全体から考えるとほんの一部で、知識人で健康への意識が高いような人ばかりであり、その反対にずっとベンチにすわっていたり(からだが動かせなくて)、電動車いすに乗った病的な肥満の人を多数見かけたのは驚きでした。
なぜここまで太れるのか、そのような人達の一日の生活に同行してみたいものです。
最近の日本でのベストセラーの堤未果が書いた「貧困大国アメリカ」(クリニックにも本が置いてあります)に、アメリカでは貧困層ほど太っているとのことであり、この階層の人達にはマカロニ・チーズや冷凍物などのインスタント食品がつまったセットがもらえる無料の食料券が配られ、それを食べて太ってしまうと指摘されており、大いに参考になりました。
アメリカでは肥満いわゆるメタボリックシンドローム(略してメタボ)の人が社会にあふれかえっているわけです。
それに比べて日本では太っているなと外見上思える人はまだ少数で、程度もアメリカ人よりずっと軽いものです。
運動をしない人は日本でも多いので、やはりアメリカと日本の違いは食生活でしょう。
アメリカで食事をすると本当に数日で飽きてしまうというか、油の多い料理が嫌になります。
そうなるとわざわざ値段の高い和食を食べることになってしまうのですが、やはり和食はほっとします。
日本人には魚を中心とした和食があるからアメリカ人とは違う体型でいられるのだなと実感します。
日本では本年からメタボ健診といわれる特定健診が国の主導で始まり、メタボメタボの連呼でうるさいぐらいです。
しかしアメリカと比べたら、このメタボで引っかかる人は少数です。皆様ご安心下さい。和食を捨てない限り、日本がアメリカ化することはないでしょう。
しかし最近は新たな問題も発生しています。魚料理の効用に気づいた他の国々が自分達で魚を食べ始めて日本への魚の輸入を制限しているのです。
健康に気を使う日本の庶民としては、まぐろなどのおいしい魚が食卓から消えないように祈るばかりです。