病気の話

2016年度デング熱検査について

デング熱の検査キットを導入しました。昨年は70年ぶりにデング熱の国内感染が確認され、東京・代々木公園から新宿御苑さらに上野公園までデング熱に感染する範囲が広がって大騒ぎになり、昨年9月末には患者数が約150人に達しました。デング熱はデングウイルスによって生じる感染症であり、ネッタイシマカやヒトスジシマカ(いわゆるやぶ蚊)により媒介されます。蚊に刺された3~7日後に発熱・頭痛(目の裏が痛い)・関節痛・下痢などが出て1週間弱症状が続き、下熱する頃に皮疹が現れるのが特徴です。38~40度の高熱が続いて、発症3日目頃から白血球数と血小板数が低下するので採血検査をすれば異常が確認できます。同時に検査キットでは発症初期の1~5日目に非構造蛋白抗原NS1を検出することで診断確定ができます。ただし検査時間には30分を要します。またデングウイルス感染者のうち、発症するのは10~50%、重症化するのはそのうちの数%程度なので、蚊に刺されたからといって大騒ぎする必要はありません。根本的な方法はなく治療は対症療法です。痛みと発熱に対してのアスピリンの投与は出血傾向増悪やライ症候群発症の可能性があり禁忌です。当院は水元公園という巨大なスペースが近くにあり蚊も多く、代々木公園同様に感染の危険性があります。今年はあおばで国内最初の感染者が出るかもしれません。