病気の話
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インフルエンザ流行初期に感染ルートが追えた小学校間での感染状況の報告
12月7日(土)夕方、突然にインフルエンザの嵐が始まった。前日に同級生同士の高熱で咳もある小学校6年女児と熱はないが咳がひどい女児が来て風邪として処方していたが、12月7日に熱のあった女児が再来してインフルエンザ検査を行い陽性反応が出た。12月7日には、それまでに同級生3人が微熱・だるさなどでかかっていたが、とてもインフルエンザを疑うような症状ではなく風邪として処方していた。同級生でしかも小学校最高学年の児童たちが同日に体調不良で受診するのはインフルエンザ以外にはあり得ないと判断し、熱はないが咳がひどい女児と、他の同級生3人に連絡をとり再診でインフルエンザ検査を行ったところ、全員に陽性反応が出た。話をきいたところ、12月4日(水)に社会科見学で国会議事堂に行ったとのこと。三郷ではインフルエンザ流行はなく、都内に行って児童がうつってきたものと考えられた。ところがインフルエンザ流行がその小学校にとどまらずに他の小学校にピンポイントで飛び火したのが今回の特異な点である。その小学校が社会科見学の翌日の12月5日(木)に近隣球技大会で、男子はサッカーを女子はバスケットボールの試合をした。サッカーは外で行うので問題なかったが、バスケットボールは室内なのでインフルエンザウイルスが室内に漂った状態で対戦相手の小学校6年女児に感染をおこして、この女児は12月8日(日)に熱発して休日診療所でインフルエンザと診断された。この2番目の小学校の女児は熱発する前日の12月7日(土)に他の学校の児童も集まるバレーボールチームの練習に出て、この女児とは別の小学校6年女児にインフルエンザ感染を起こしたようである。この3番目の小学校6年女児は12月10日(火)朝に来院してインフルエンザと診断された。2番目の学校ではもう1人がインフルエンザになったが、インフルエンザが出たクラスを学級閉鎖することによって他のクラスへの広がりを抑えられた。それぞれの学校で大流行とまではいかないが、球技大会やクラブチームでの接触でインフルエンザ感染が広がっていったルートが細かく追えた。短期間で次々に感染が広がった様子は、今年のインフルエンザA型ウイルスの感染力が強いことを示すものと考えられた。十分な警戒が必要である。