病気の話

風疹注射のすすめ

都内で患者数が一番多いのですが、埼玉県を含めた首都圏で風疹が大流行です。2013年4月末までの累計で全国の患者数は5442例になり、既に昨年1年間の患者数(2392例)の2倍を超えています。流行の主体は20~40歳代の成人男性です。その多くが風疹ワクチンの定期接種を受ける機会のなかった世代です。当院でも昨年は1人だけでしたが、本年は既に4人も風疹患者を診ています。風疹は「3日はしか」とも言われ、高熱で死亡例も出る麻疹に似て、熱発と発疹をおこしますが、数日で改善して重症化することはまずありません。ところが妊娠した女性に感染をおこすと、難聴や心臓病を持った子供が生まれてくることが大問題になるのです。この先天性風疹症候群が起きないようにするためには、全ての妊娠予定の女性が風疹に対する免疫を持たなければなりませんし、パートナーとなる男性も風疹にかからないようにしなければなりません。しかし現実的に流行がおさまらず、仕事先含めて、どこでうつされるかわからない今の様子では、風疹にかからないようにするためには予防注射を受けておくしかありません。しかし風疹単独の予防注射が足りず、当院では定期接種にも使われている麻疹と混合のMRワクチンを使用しています。ワクチン自体の値段は高めですが、インフルエンザ予防注射と同様に、当院ではなるべく多くの方に注射を受けて頂くために、納入価に近い値段設定にしています。本来は採血をして自然免疫ができているかどうかを調べて、抗体価が低い場合に予防注射を打つのが良いのですが、前述した20~40歳代男性ではほぼ免疫がないことがわかっていますので、採血を省いて注射を受ける方が早いと考えられます。どうか風疹感染を心配される方は、早めに注射を打つことをおすすめします。