病気の話

幼稚園におけるインフルエンザワクチン集団接種の有効性

インフルエンザ(イと略)ワクチンの有効性は不確定な部分が多いのが問題です。
病院で個別に注射してもイに罹患することもあり、ワクチンの効果に疑問が出る所以です。
ところが集団接種では数人が罹患しても周囲に広がることが少ないと考え、2年前から園医をしている幼稚園で集団接種を行いました。
H21年度は新型イに対するワクチンのみを使いましたが、新型イが既に流行しているのにワクチンの供給が遅く、注射前に少なからず園児が新型イに罹患してしまっていました。
H21年度は園児122人中、1回以上の注射を84人に行いましたがイ罹患した園児は12人であり、ワクチンの効果は不十分でした。
H22年度は新型イと旧型イの混合ワクチンを使いました。
H22年度は園児132人中、1回以上の注射を110人に行いイ罹患は8人のみであり、A型もB型も周囲では流行がみられましたが園内での広がりは抑えられ、ワクチンが有効と考えられました。
しかし罹患した8人は全員が2回注射しており、ワクチンのみでは個々の感染は抑えられないことがわかりました。
クリニックでは松戸市の少年サッカークラブにも出向いて集団接種を3年前から行っています。
このクラブではサッカー少年の家族も対象にして合計で300人に注射を行っていますが、注射後にイ罹患は出ていません。注射による免疫だけでなく、サッカーで体力増強をはかっているのが相乗効果として働いているものと考えられます。
インフルエンザワクチン注射は集団接種で予防効果が高まります。今冬からの接種量の増加により、さらに有効性が高まることが期待されます。